top of page

「全員が万能」を目指さない。個のデコボコを成果に変える「パズル型マネジメント」の真髄

  • 2 日前
  • 読了時間: 8分
人を育てる適性診断



はじめに


「何でもこなせる万能な人材」という幻想が、多くのリーダーを疲弊させています。

従来の能力主義は人を一律の物差しで序列化し、個人の大切な持ち味を押し殺す要因となってきました。今求められているのは、個々の強みや弱みを「デコボコ」という欠かせない

ピースとして組み合わせる「パズル型マネジメント」への転換です。


本ブログでは、人を能力の高さではなく組織内の「機能」として捉え、科学的ツール

「エナジャイザー」でその特性を可視化する具体策を詳しく解説します。

メンバー一人ひとりの存在を認める「存在承認」を土台に、個のデコボコを成果へと変え、組織を劇的に成長させる真髄に迫ります。



1. なぜ「理想の社員」を追い求めると組織は苦しくなるのか


中小企業の経営現場で、多くのリーダーを苦しめている呪縛があります。

それは「何でもこなせる万能な人材が欲しい」という幻想です。

しかし、全ての分野で秀でた「完璧な人間」など存在しません。

 

従来の能力主義は、個人を特定の基準で測り、「優劣」を断定し、他者と比較して

序列化してきました。実は「すごい」という何気ない褒め言葉でさえ、裏を返せば

「そうでない人」との間に序列を生み、現場に目に見えない萎縮を招くことがあります。

こうした「万能化」への期待は、メンバーの個性を押し殺し、組織全体の疲弊を

加速させる要因となります。

 

今、求められているのは、人を「能力」という曖昧な物差しで裁くことではありません。「できないこと」を数えるのをやめ、個人の強みや弱みという「デコボコ」を、欠かせないパズルのピースとして捉える「パズル型マネジメント」へのパラダイムシフトです。

 

ここで重要なのは「諦める」という言葉の解釈です。これは決して敗北宣言ではありません。仏教用語の「諦(たい)」に由来する、「明らかに見極める(究める)」という前向きな行為です。部下に完璧を求める「過信」を捨て、個々のありのままを見極める。

そこから、真に強固な組織づくりが始まります。


2. 能力で判断しない。「機能」で捉える組織のあり方


パズル型マネジメントの根幹は、人を「能力」というランクで分けるのではなく、

組織における「機能」として再定義することにあります。


チームを一台の「車」に例えて考えてみましょう。

  • エンジン: 先陣を切って進む推進力(実行力)

  • ブレーキ: 立ち止まり、危機を回避する力(リスク管理)

  • ハンドル: 目標を定め、舵を切る力(方向決定)

  • バックミラー: 過去を振り返り、安全を確認する力(状況把握)


車において、エンジンとハンドルに上下関係はありません。同様に、組織内の役割もまた「機能の対等性」の上に成り立っています。

どのパーツが欠けてもチームという車は走行不能に陥るからです。個人の特性を特定の

「機能」に紐づけて考えることで、以下のようなメリットが生まれます。

 

  • 無駄な序列化の排除: 「あいつはエンジンになれない」と嘆くのではなく、

    「バックミラーとして最適だ」と適性で見ることが可能になる。 


  • 全員の必要性の可視化: 全ての役割が対等であるため、目立たない裏方の貢献にも

    スポットライトが当たる。


  • 心理的安全性の向上: 欠点を埋める努力にエネルギーを浪費せず、自分の「形」を

    活かすことに集中できる。


3. 足りないピースをどう埋めるか:内部人材による「役割の演技」


新しい人材を外部に求める前に、まず検討すべきは内部での補完です。

しかし、適性のない人間に「その人自身になれ」と強いるのは酷であり、効率も悪くなります。そこで提唱するのが「職業人格」を活用した役割の演技です。

 

野球を例に挙げましょう。エースピッチャーが負傷した際、野手が一時的にマウンドに立つことがあります。このとき、その野手は「プロの投手」になろうとする必要はありません。「今はピッチャーという機能を担当している」という疑似的な役割を演じるだけでいいのです。

 

なぜ、この考え方が有効なのでしょうか。 それは、「自分自身の性格そのものを変えろ」と言われると心理的拒絶が起きますが、「期間限定で、組織のためにこの役を演じてほしい」という依頼であれば、自己と役割を分離して取り組めるからです。

当初はパフォーマンスが50%程度に留まるかもしれません。しかし、周囲が「彼は今、

不慣れな役割を演じてくれている」と理解してサポートし、本人がその役柄に慣れていくことで、やがて80%程度の機能を発揮できるようになります。

このプロセスを論理的に共有し、メンバー間で「今、この機能が足りないから助けてほしい」と率直に相談し合える文化が、柔軟なチームワークの本質です。



4. 客観的な「物差し」の必要性:ハイブリッド適性診断「エナジャイザー」の役割


主観や思い込みによる配置ミスを防ぐには、科学的な裏付けのあるツールが不可欠です。

私が推奨するのは、組織解析ツール「エナジャイザー」です。


このツールは、世界的に有名な国内電機メーカーが開発し、公益財団法人日本生産性本部へもOEM供給された実績などを含め、極めて信頼性の高い診断ツールです。

特許出願済みの独自の評価軸を用いて、個人の特性を「静(内面)」と「動(行動)」の

両面から可視化します。

 

エナジャイザーには、大きく分けて2つの測定アプローチがあります。

  1. 作業検査法(情報処理特性): 実際の作業を通じ、業務遂行の速さ、安定度、ストレス耐性、ミス頻度などの「動的な能力」を測定。これにより、単純な仕事や複雑な業務への適性がわかります。


  2. 質問紙法(内的価値観): 野心・おとなしい・真面目・外交・世話好き・気さくという6つの性格要因から優位タイプを判定し、本人の思考パターンやモチベーションを解析。また、仕事・職場・会社とのマッチング度やモチベーションの源泉などがわかります。

 

特筆すべきは、野球のピッチャーで例えると「ブルペン」と「本番のマウンド」での違いを見抜ける点です。 誰にも見られていない環境(一人でいる時)では高いパフォーマンスを出せても、観客が詰めかけ、9回裏ノーアウト満塁という「組織内のプレッシャー」が

かかる場面では、本来の力が揺らぐ人がいます。

エナジャイザーは、環境や人間関係によって変化する「組織内でのリアルな姿」をデータで捉え、履歴書や面接では決して見抜けない適材適所のヒントを与えてくれます。



5. 組織運営を劇的に変える4つのメリット


組織解析を導入し、データに基づいた「パズル型マネジメント」を実践することで、具体的に以下の4つの変革が期待できます。


  1. 適材適所の配置: 「営業向きだと思っていたが、実は安定度の高いバックミラー機能に長けていた」といった発見をデータで裏付け、個人のポテンシャルを最大化できる場所へ配置できます。


  2. 上司・部下の関係性改善: パーソナリティの相性を分析。単なる「好き嫌い」ではなく、コミュニケーション特性に基づいた配置や異動を行うことで、無駄な人間関係の摩擦を未然に防ぎます。


  3. 不振原因の特定: 成績不振の原因がリーダーの力不足なのか、あるいはメンバーのモチベーションや適性の不一致なのかを特定。リーダーが部下をやみくもに責めるのではなく、正しい「原因」に対処できるようになります。


  4. 組織変更の効果測定: 組織変更の前後で社員の心理状態や業務効率がどう変化したかを客観的に比較。感覚に頼らない改善サイクル(PDCA)を回し、戦略的な組織運営を実現します。


6. まとめ:存在の承認から始まる、人を活かす組織の成長


マネジメントの究極の目的は、一人ひとりを変えることではなく、一人ひとりが輝ける環境を整えることです。「諦める(明らかに見極める)」ことから始まるマネジメントは、

リーダーを「部下への過度な期待」から解放し、現実的で温かみのあるリーダーシップを

可能にします。

 

成果の良し悪しを議論する前に、まず伝えていただきたいことがあります。

「成果にかかわらず、あなたがいないとこのチームは成り立たない」という存在そのものへの承認(存在承認)です。


これを心理学では「自己重要感」といいます。 「自分は必要な存在なんだ」「自分の居場所はここにあるんだ」という気持ちをもっている社員は安定したパフォーマンスを発揮します。

 

また、「やってくれてありがとう」という感謝が土台にあって初めて、メンバーは自分の

デコボコを隠すことなく、組織というパズルの中に安心して差し出すことができます。


中小企業こそ、一人のカリスマに頼るのではなく、多様なピースを組み合わせて大きな力に変える「有機的な組織」へと成長できる大きなポテンシャルを秘めています。

個のデコボコを「成果」に変えるパズル型マネジメントを通じて、貴社ならではの唯一無二のチームを作り上げていきましょう。


参考・出典:

本記事は、YouTube番組

「【新番組】“上司の悩み”をプロが解決・勅使川原真衣/98%が陥る“能力主義”の罠/褒め言葉が“序列化”を生む/チームのやる気を引き出す「承認」/最強のパズル型マネジメント【MANAGEMENT Q】」を参考にしつつ、私自身の視点と、エナジャイザーの思想を重ねて再構成したものです。


【著者情報】

株式会社さくら総合研究所 シニアディレクター 菅野敏

資格:シニアコンサルタント ・キャリアコンサルタント


大手損害保険会社の営業職から中小企業へ転職。創業期のNO.2として組織創りに取り組み、自社および他社の人財育成の支援を担当。その経験を活かし、人がポテンシャルを発揮しイキイキと働ける環境創りの支援を使命とするため現職へ。

現在は、エナジャイザーのプロファイラーとして約15万人以上のデータを解析している。






bottom of page